オウム真理教の麻原彰晃ら7人の死刑執行、神格化の恐れも

オウム真理教の麻原彰晃ら7人の死刑執行、神格化の恐れも

カルト集団・オウム真理教が起こしてきた一連の事件は、89年の坂本堤弁護士一家殺害事件、脱会信者殺害事件、94年の松本サリン事件、95年3月の地下鉄サリン事件等。「ポア」と称し殺人や死体損壊、武器等製造法違反といった多くの事件を起こしている。
一連の事件を起こしてきたオウム真理教元代表の松本智津夫（麻原彰晃）死刑囚（63）と元幹部ら12人の死刑が確定しているが6日に7人の刑が執行された。

死刑執行されたのはオウム真理教元代表の松本智津夫（麻原彰晃）（63）、元幹部の早川紀代秀（68）、中川智正（55）、井上嘉浩（48）、新実智光（54）、遠藤誠一（58）、土谷正実（53）。7人同時の死刑執行は異例。
教団のトップと幹部を中心に同日に死刑執行されたことによって“教祖と側近が最期まで一緒だった”という「神格化」につながりかねないと危惧するジャーナリストもいる。
事件から23年が経ち、現在は「アレフ」「ひかりの輪」「山田らの集団」がオウム真理教の後継団体として活動している。
ネットでは「結局動機は謎のままか」「せめて真相を語るなり謝罪してほしかった」「信者たちが凶行に走らないか心配」といった声が上がっている。

執行された6日、公安調査庁の職員らは東京都足立区や杉並区の「アレフ」（現在約1500人ほど）の施設へ立ち入り検査が行われた。
アレフ施設では今年4月に立ち入り検査した際にも松本智津夫死刑囚の写真や説法が収録された映像などがあることが確認されている。
アレフは、ヨガ教室やヨガサークルといった宗教団体とは関係ない組織を装って実態を隠した勧誘を行い、現在もひそかに信者数を増やしているといわれている。

同日、アレフから分派した石川県金沢市昌永町にある「山田らの集団」（現在は30人ほどで活動しているとみられる）の施設に公安調査庁の職員らが立ち入り検査に訪れ、中に入れるよう呼びかけたが応答はなく、一時間後に引き上げた。
去年12月に立ち入り検査に訪れた際には松本智津夫死刑囚の写真なども見つかっており今も影響下にあるとみられている。

アレフから分派した「ひかりの輪」（現在約150人ほど）の代表といえば、ホーリーネーム「マイトレーヤ」で“ああ言えば上祐”で知られる上祐史浩代表。上祐氏も同日に都内で会見し「オウム真理教の犯罪については私も教団で重大な責任がある。被害者遺族に深くおわびしたい」と述べた。また「離反し、批判してきたので麻原やその他から見ると裏切り者なわけであります」と麻原に帰依している団体アレフとの関りを否定した。

このアレフ後継団体「ひかりの輪」からの脱会者や脱会を考えているメンバーの交流の場を作るために設立された“ひかりの輪脱会者友の会「インコの会」”も新たに2017年に設立されている。
「インコの会」公式HPに掲げられているインコの会の目的は

1.ひかりの輪に対して解散を求める。
2.ひかりの輪の問題に関する情報交換と人的交流をすすめる。
3.ひかりの輪会員への脱会支援を行う。
4.ひかりの輪の問題について社会に向けて情報発信を行う。
5.そのほか、ひかりの輪およびオウム真理教をめぐる問題について必要と考えられるあらゆる活動を行う。

となっている。
「インコの会」の公式HPを開設した数日後には、ひかりの輪関係者と思われる人物から、インコの会の中山氏らを誹謗中傷するブログ記事が投稿されるなどしている。

また、執行された日、松本死刑囚の三女・アーチャリーこと松本麗華氏のTwitterアカウントには一部の心無いネット民によって「執行万歳」「父親の罪を恥じろ」「パパにおやすみなさいは？」といった誹謗中傷が相次いでいる。
この誹謗中傷に対し「親の罪を子にかぶせるな」「犯罪者の娘には何をしてもいいのか」と反論する書き込みも多数あった。

そして気になるのが、アレフ公式サイトの2018年3月13日のコメントだが、これには意味深なことが書かれている。

　これら司法上の手続きをはじめとする深刻な問題を無視して、一行政機関に過ぎない法務省及びその長たる上川陽子法務大臣は、死刑囚１３名の一部を早々と別の拘置所に移送しました。麻原尊師らの死刑執行を強行しようとしているのでしょうか。もしそうであるならば、取り返しのつかない重大な禍根となるでしょう。

アレフは麻原及び麻原の教義に絶対的帰依していることから、このようなコメントをしているのだと思うが、実際に死刑が執行されてしまった今「取り返しのつかない重大な禍根」が生まれたことになる。この後どうなっていくのか。また、麻原彰晃の死刑執行によって今後、オウム真理教後継団体信者による“神格化”や“聖地化”の恐れもあることが警戒される。